最近では安岡正篤先生の本を読んで感じる事は、残されたある名言が多く残されている事と、この社会に生きて行く上での処世術の様なものが多い様に感じます。

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「思考の三原則」
一.目先に捉われないで、出来るだけ長い目で見る。
二.物事の一面に捉われないで、出来るだけ多面的に、
出来得れば全面的に見る。
三.何事によらず枝葉末節に捉われず、根本的に考える。



「政治の四患」
一. 偽(偽ること)
二.私(公私混同すること)
三.放(放埓つまり無責任
四. 奢(奢侈)



「四 耐」
一.耐 冷(冷に耐え)
二.耐 苦(苦に耐え)
三.耐 煩(煩に耐え)
四.耐 閑(閑に耐う)



「四不」
一.不激(興奮しない)
二.不躁(ばたばたしない)
三.不競(くだらない人間とくだらない競争をしない)
四.不随(人の後ろから、ノロノロとついて行くことをしない)




「五交」
一.勢交(勢力者に交を求める)
二.賄交(財力ある者に交を求める)
三.談交(能弁家に交を求める)
四.窮交(困窮のため苦しまぎれに交を求める)
五.量交(利害を量って得な方に交を求める)



「人生の五計」
一.生計(漢方養生訓の合理性)
二.身計(いかに自己を処するか)
三.家計(人間教育の根本は家庭教育にあり)
四.老計(人生の佳境を味わうための計りごと)
五.死計(生死を超越した死に方、生き方)



「人に嫌われぬ為の五か条」
一.初対面に無心で接すること
二.批評癖を直し、悪口屋にならぬこと
三.努めて、人の美点・良所を見ること
四.世の中に隠れて善い事が行われているのに平生注意すること
五.好悪を問わず、人に誠意を尽くすこと



「六 然」
一.自處超然(ちょうぜん<自ら処すること>)
自分自身に関してはいっこう物に囚われないようにする。
二.處人藹然 (あいぜん<人に処すること藹然>)
人に接して相手を楽しませ心地良くさせる。
三.有事斬然(ざんぜん<有事には斬然>)
事があるときはぐずぐずしないで活発にやる。
四.無事澄然(ちょうぜん<無事には澄然>)
事なきときは水のように澄んだ気でおる。
五.得意澹然(たんぜん<得意には澹然>)
得意なときは淡々とあっさりしておる。
六.失意泰然(たいぜん<失意には泰然>)
失意のときは泰然自若としておる。



「六中観」
一.忙中閑有り
(ただの閑は退屈して精神が散漫してしまう)
(忙しい人の方が沢山の本を読むし、人生を楽しんでいる)
二.苦中楽有り
(苦労のない所に楽しみはない。楽しみと苦しみは紙一重)
三.死中活有り
(時には死んだつもりになって頑張りたい)
四.壺中天有り
(現実の世俗的生活の中に自らが創って行く別天地)
五.意中人有り
(私淑できる人物を、或いは理想的人物を心の中に持っている)
六.腹中書有り
(断片的知識でなく、しっかりした哲学を腹の底に納めている)



「七 養」
一.時令(季節)に順(したご)うて以て元気を養う。
二.思慮を少うして以て心気を養う。
三.言語を省いて以て神気を養う。
四.肉慾を寡(すくの)うして以て腎気を養う。
五.嗔怒(いかり)を戒めて以て肝気を養う。
六.滋味を薄うして以て胃気を養う。
七.多くの史を読みて以て胆気を養う。



「八 変」
自分が変われば相手が変わる。
相手が変われば心が変わる。
心が変われば言葉が変わる。
言葉が変われば態度が変わる。
態度が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば運が変わる。
運が変われば人生が変わる


様々な素晴らしい言葉を沢山残されておりますが、掘り下げていけばいくほど、深く心に沁みた教えになります。
2500年も前に教えられる四書の一つ“大学”という書物に、人が人になる為の学びが元(本)の学で、知識や技能を養う学問は末の学であり、知識や技能を養う学問だけでは国は成り立たないとハッキリ書いてあります。

たしかに2つとも大切ではあるものの、本末でいうなら木の幹や根が人間学という事でしょう。今の日本の教育に欠落したものかも知れません。

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